漫画、猫人間暮らし。

猫の母娘(ちよ、くー)、ハムスターのひまわり、人間のふわふわしたコマ漫画です。あとイラストや雑記。人間が若干患いがちな為、字が読みづらいと言うことは平身低頭にてお詫び致します、、!

忘却のおもひで

彼の寝床は小高い丘のてっぺん。


澄んだ空気や小川のせせらぎを枕に眠っている。


今年で六十二年、ちと寝過ぎじゃないかと呆れる位長い間。


彼が最期まで渇望した水をかけてやると、今日もまた忘却の彼方から呼び覚まされる。



あの日俺が強く引き止めていれば、お前はまだ隣にいてくれただろうか。


手柄なんかいらなかった。


家族の為に己を投じた事は承知の上だ。


だが、お前の命より大切な物なんかない。


今も、俺には。


ああ、お前の願い通り奥さんも子供も幸せにやってるよ。


…お前の願い通り、俺が彼女と結婚したんだ。


孫だって生まれたし、ベテランお爺ちゃんだ。


…お前だけだな、変わらないのは。


冷たい石の下、未だ二十三歳のお前は何を考えてる?


お国の事か?家族の事か?


…永遠に続く夢の一幕に、俺の出番はあるだろうか?



なあ、最近急に昔の事が思い出されるんだ。


忘れた筈のお前の事を。


…そして今の記憶の様に、急に消えるんだ。






「會田さん探しましたよ。毎年毎年、どなたのお墓参りなんですか?」


「…さあ、誰だったかな」



忘れてしまったけれど、思い出す日がある。



八月十五日



知らない誰かに思いを馳せて。




終戦記念日にアップし忘れた詩です。

一応BLなんですが、純粋な思い出として書いたつもりです。

戦争経験者が高齢化してる今、生きていても忘れてしまう想いもあるのかな、、。

小説 首輪の君※閲覧注意

 閑静な住宅街の一角に、新緑の眩しさに目を細める季節でありながらも、暗幕を垂らし、世間から隔絶した家がある。




 ――いいえ、飼育小屋と表現した方が正確かしらね?




 重い鎖に繋がれながらも、大人しく飼い主の足下にうずくまる滑らかな裸体を眺めつつ、我が家を的確に表した名詞に、私は一人ほくそ笑んだ。



 そう、ここは飼育小屋だ。



 ずっと愛して止まなかった、たった一人の女の為に私が用意した、贅沢な飼育小屋。


 今だってほら、人の形をした上等な牝犬が、私の膝に手を置いて媚びを売っている。



「どうしたの?そんなに物欲しそうな顔をして」



 黒曜石を砕いた様な眸でこちらを見上げる彼女に優しく問いかけると、視線がテーブルの上へと流れた。


 その動きで私は全てを理解した。


 もう彼女には三日も食物を与えていないのだ。

 


 勿論水分は与えてはいるが…ああ、もう一つ、存分に摂取させている液体があったか。



 私は彼女の頭を撫でながら、嘲笑を含んだ声で話し始めた。




「フフ…貴女、三日も固形物を口にしていないにしては、元気よねぇ。やっぱり…多少の塩分でも、お腹の足しになっているのかしら?朝昼晩と、私の愛液を貴女のお口に注いであげてるのも、貴女にとっては立派なお食事になるのかしらねぇ…?」



 私の言葉に、時間帯を問わず結ばれる情交の様が蘇ったのだろう。


 彼女の顔は一瞬強張り、やがて羞恥心から可哀想な程に赤くなってしまった。


 そしてどんなに躾ても、矯正出来ない言葉遣いで私に噛み付いて来た。



「…ざけんなよ。無理矢理飲ませてるのは誰だよ!」



「フフッ。そんなに恥ずかしがる事はないでしょう?いつもとても美味しそうに頬張っているくせに」



 事実を突きつけられてなけなしのプライドが働いたのだろう。


 彼女は艶やかな黒髪を揺らし、身を翻そうとした。



「いいの?お腹、空いてるんでしょ?」

 


 チンと、フォークで舌平目のムニエルが飾られた皿を叩くと、均整のとれた剥き出しの肉体がピクリと震える。


 やはり、獣は食い物で釣るのが一番だ。


 怒りの為か、品良く生え揃った眉を吊り上げてはいるが、彼女の心は完全に卓上へと向けられている。



 それはもう、飼い主としては少々…いや、大いに妬けてしまう位、まっしぐらに。




 ――だから、少々のイジワルも許されるわよね?

 


「私とヒラメ、貴女はどっちが好き?」



「ハア?何言って…ッ!?」



 そろそろと立ち上がり、テーブルに近付こうとしていた彼女の鎖を乱暴に引っ張り、一気に距離を詰める。



「…ンッ!」



 苦しげに眉を顰める彼女の答えなど待たず、私は唇を寄せ舌を侵入させた。


 くちゅりと云う淫靡な音が、キャンドルを灯しただけの静謐を不調和に破く。



「はぁ…っ」



 うっとりと吐息を漏らす彼女から離れると、その目は既に情欲で濡れていた。



「もう一度だけ訊いてあげるわ。私とヒラメ……貴女は、どちらを食べたい?」



 低く甘く、左耳に囁く。



「このサディストが…!!」



「何とでも。でも私の言葉でしっかりと反応してるのは、誰のナニかしらねぇ。マゾヒストちゃん?」




 視界をスライドさせれば、ぷっくりと熱を帯びた彼女の乳首が映る。

 


 やがて観念したのか、彼女は軽く舌打ちをしてから私を見つめ直した。



 そして二人の唾液に塗れた口を開き、小さく吠える様に答えた。






「…オマエに……決まってるだろ…ッ!」






「…クッ、宜しい」



 私は彼女にしか見せない極上の笑みで、その愛しい躯を抱き寄せる。





 ――貴女だけが、私の可愛いペットよ。




 end


昔書いた話ですが、昔から百合好きだったのね、、。

恥ずかしい気取った表現があり、若気の至りとしか言えませんが、わりと気に入ってはいます。牝犬じゃなくて牝猫が良かったかしら。。←