漫画、猫人間暮らし。

猫の母娘(ちよ、くー)、ハムスターのひまわり、人間のふわふわしたコマ漫画です。あとイラストや雑記。人間が若干患いがちな為、字が読みづらいと言うことは平身低頭にてお詫び致します、、!

マリア様がみてる※鏡合わせの焔(白薔薇百合)

 ――ふとした瞬間に、発火する熱がある。





 日常を送る上で彼女は、佐藤聖にとって、手元に必要なものでは決してなかった。



 冷めている訳ではない。



 誰よりも彼女を想い、そして信じているからこそ、彼女が同じ空の下で生きていると言う事実だけで、聖は充たされているのだ。



 けれど、聖とて生身の人間。



 たまには俗世間の煩悩とやらに絡み取られたりもする。



 そう、躯が焦げ付く程燃えるように、欲情することだって、ある。



「志~摩子っ」



 下校時からも、生徒会の終る時刻からも中途半端にずれていたと言うのに、お目当ての少女はすんなりと見付かった。


 ふわふわと風に游ぐ後ろ姿を見ただけで、それが誰よりも愛しい彼女であると認識出来る。


 卒業した今尚、心地好く心を結んでいる、聖のたった一人の妹――藤堂志摩子。



「お姉さま?どうされたんですか一体」



 驚きもせず、ゆったりと振り向いた志摩子の顔は、まるで聖が来るのを予感していたかのように穏やかで、そして白薔薇の冠に相応しく、美しかった。



「ん~?や~ちょっとね。ま、とりあえず歩こうか。立ち止まってたら子犬ちゃん達に囲まれかねない」



「…えぇ。お姉さまは相変わらず人気がおありですから」



 視線に促され志摩子は頷く。

 

 元リリアンのアイドル――先代白薔薇様――のスター性は、相変わらず絶大なようで、疎らだった筈の生徒達が、既に塊を作りつつあったからだ。



「まぁハーレムってのも嫌いじゃないけどね。…今日はそれじゃあ足りないんだなぁ」



「え‥?」



 小さく首を傾げる志摩子を微笑みで誤魔化して、聖は人気のない路を選んで歩き始めた。



「で、どう?姉妹関係は、順調満帆?」



「乃梨子とのことですか?そうですね…あ、そうそう、この間一緒に、仏像巡りツアーに出掛けたんです」



「ツアー?そりゃまた豪勢なネーミングだこと。さてはあの日本人形ちゃん、張り切って企画したな?」



「えぇ。乃梨子が頑張って色々と手配してくれたんです。お陰で、とても楽しかったです」



「そっか。よかったね」



 嬉しそうに思い出を語る志摩子に、こちらも思わず笑みがこぼれる。


 不思議なことに、志摩子が自分以外の人間と楽しい時を共有しても、嫉妬心は芽吹かない。


 志摩子が幸せなら、自分も幸せだと、そう心から思える。



 けれど、それはあくまでも心の話。



 芯に純粋な想いを宿らせていたとしても、一度着いた厄介な火は、水をかけるか焦げ尽きるまでどうにもならない。



 それでも悪足掻きとばかりに、冷気を吸い込み寒空を仰ぎ見てみる。


 だが、肺に虚しく吸い込まれた空気は、かえって聖の神経を昂らせただけだった。






 ――脳が悲鳴を上げる。志摩子を、奪ってしまえと。


 

「…志摩子。私とも、タノシイコト、したくない?」



「え…?お姉さま何を…ンンッ」



 不用意に視線を合わせて来た志摩子の唇を、聖は強引に塞いだ。


 右手は志摩子の細い腰に。


 左手は志摩子の柔らかな髪に巻き付けて。



 滑り込ませた舌を、志摩子が追い出す暇がないよう、聖は激しく中で遊ばせる。



 口内を犯す水音は、聖の熱を冷ますにはあまりに儚く、卑猥だった。






 ――どうしようか?このまま外で、志摩子を淫らに辱しめて終おうか……?





 混濁した思いが、聖の脳裏を掠めた時だった。



 蹂躙されるがままだった小さな舌が、まるで呼応するかのように聖に絡んで来たのは。



「ンッ…ふ…っ。志…摩子!?」



 驚いて聖が志摩子から躯を離すと、志摩子は名残惜し気な顔をして聖を見詰めていた。




「…どうしたのさ。志摩子らしくもない」



「そう言うお姉さまだって、らしくないじゃありませんか。いつもは何だかんだ言いながらも、私の身体を気遣って下さいますのに」



「…甘いね。私はこう言う人間だよ。本当に欲しい時は、身勝手に女を抱くんだ」



「なら、私もそう言う人間なんです。本当に欲しい時は、身勝手に抱かれます。…ただし、相手はお一人だけですけれど」



 聖によって取られた距離が、志摩子によって縮められる。



 一点に、聖の顔だけを見詰めて来る志摩子の双眸には、聖のよく知った灯が揺らめいていた。



 それは紛れもない、情欲の、焔。



「…志摩子…もしかして…?」



「ふふ。どうでしょうか‥?その質問にお答えする前に、先程の質問にお答えしなければ。……お姉さま」







 ――私もお姉さまと、タノシイコトが、したいです。




 end

 


昔書いたマリア様がみてるの白薔薇百合でした(;^ω^)

聖様好きだったなあ。