漫画、猫人間暮らし。

猫の母娘(ちよ、くー)、ハムスターのひまわり、人間のふわふわしたコマ漫画です。あとイラストや雑記。人間が若干患いがちな為、字が読みづらいと言うことは平身低頭にてお詫び致します、、!

斑シリーズ 斑だけども一色※GL小説

「…好きです。好きだ。……好き…」



 ――にゃあ。


 低く唸るような独り言に応えてくれたのは、飼い猫の不安げな鳴き声だけだった。



  ――嘘臭い。



 ある日を境に、私は言葉に信用を置けなくなった。


 嘘をついた時、人は一瞬、或いはいつまでも良心を痛めるかもしれないが、だからと言って嘘をつけないという訳ではない。


 傷つけたくないから、なんて綺麗な理由を自分勝手に仕立てては嘘をつき続けられるのが、人間であるのだ。


 でも、嘘と言う生地で出来た服はいつか破ける。


 ハンカチや小物入れ程度なら、ダメージはそう重くはないかもしれない。


 でも服は、身体を守る服はどうだろう。


 もし人前でそれが破けたら、人は大きく狼狽し、それこそ深く深く傷つくのではないだろうか。


 ましてや、ただ一着の、お気に入りであれば。

 



 ――大好きよ――



 母は事あるごとに、柔らかい声でそう言ってくれた。


 私が一番、好きなのだと。


 父にいくら暴力を振るわれようとも、母のその言葉があるから、私は、笑っていられた。




 なのに、彼女は私を裏切った。




 妹だけをつれて、私だけを残して、ある日家を出て行った。



 母の笑みは、偽りだった。


 面倒事を避ける為の、策だった。


 ――大好きだなんて、嘘だった。



 だから私は、好きという意味の言葉を、二十年以上経った今でも信じられない。



 そして、恋人である彼女の、言葉さえも。


 彼女もいつか、母と同じように私を捨てるんじゃないかと、気が気ではない。


 彼女が甘く囁けば囁く程に疑心暗鬼は強まり、そして彼女を束縛する力が強くなる。


 隣の部屋で呑気にくぅくぅと寝息を立てる彼女は、きっと私のこんな心は知らない。



 一回りも歳の離れた私に、彼女はいつも優しい。


 日常茶飯事的に罵倒して夜は沢山泣かせてるのに、ケロリとして好きだと言う。


 何度も、何度でも。



 けれど私は、彼女の言葉を信じない。信じたくない。



 声が積み重なって行く程に、別れが近付いて来てるような気がして。

 



 ――ぐっと右手を握ると、今も母の手触りの良いスカートの感触が蘇る。



 さっきまで、彼女の熱に触れていた右手に。


 その途端に私は恐ろしくなった。


 この熱がいつか思い出になるなんて、考えただけで気が狂いそうになる。



 私は駆け足で寝室に戻ると、寝ていた彼女を叩き起こした。


「ひゃわっ!?な、なにいきなり??」



 涎にとろけた間の抜けた顔で、彼女が問い掛ける。


 このどんくさく、見た目は愛らしいが何処にでも落ちてそうな中年女性が、私の恋人だ。


 一年三カ月と一週間前、気紛れで入会した料理教室で出逢って、それから一七日後に私が押し倒す形で結ばれた。



 そうした理由は実は明確にはない。


 何しろ彼女は何ヶ月経っても料理は上達しないし、長い髪はいつも何処かしら跳ねているし、ついでに見る度動作が鈍くなっているような気がするし、美点よりも汚点の方が断然多い。


 しかし旦那と娘に逃げられたらしいのに、それでも尚笑いながら彼らの自慢をする彼女が、酷く悲しく見えて。



 そして無性に腹立たしく思えて。



 気が付いたら目が離せなくなっていたのだ。



 そんな出逢いから今までを思い出しながら、じっと大きな一重を見つめていたら、それがふっと細められた。

 


「分かった。怖い夢を見たんでしょ~?もうしょうがないなあ君はぁ。全くお子ちゃまなんだから~ってヘブチッ!な、何でまた叩くの!?」



「貴女の顔があまりに間抜けだからです」



「ま、間抜けって、ヒドいわねぇ相変わらず。こんな顔に惚れたのはドコのドイツ人だい!」


 オバサンらしく、ギャグが猛烈に寒く古い。

 

 

「まあ、私ですけど」



「でしょ?でしょでしょ?……わたしの顔、好き、なんでしょ…?」



 躊躇いがちに少し間を置いて投げられた質問に、私は言葉をなくす。



 彼女はたまにこうして、ふざけながら心臓を突いてくる。


 いくら身体を重ねても与えられない言葉を、私に求めて。



 でも私には、何度求められようとも、答えることが出来ない。



「あ、いいのいいの~。ごめんね困らせて。よし!気分を変えて寝直そう!」



 努めて明るく枕の位置を整えようとした彼女を、後ろから抱き締める。



「…バカですか貴女。何の為に起こしたと思ってるんですか」


「むへッ!?」



 珍奇な叫び声を発した彼女の柔らかく小さな身体に、私は容赦なく手を伸ばし、すり抜けていかないように握り締めた。








 ――ごめんなさい。

 


 私はきっと、一生貴女に告げられない。



 だから、貴女もどうか言わないで。



 もうあんな痛みを感じるのは御免なんです。




 貴女を――貴女だけは、失いたくないんです。



「………さん…っ」



 この温もりが消えないように、きつく、激しく。


 言葉に出来ない、想いを込めて。






 今夜も私は、貴女を犯す。




 end



美女×熟女です。熟女も好きなんですよね(;^ω^)




美女→意織

熟女→ババア(桧野さん)

×

非ログインユーザーとして返信する

あと 2000文字

※は必須項目です。